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建築士のひと言

建築と景観

平成27年4月1日

一級建築士 片山 繁行

ヨーロッパを旅した人が、街並みの美しさに感動して帰ってきます。それに対し、日本は、以前の農村風景などは、自然景観と調和し、大変美しい国だったと思います。

「東京ブラックアウト (若杉冽著)」という小説の中で、「今上陛下と皇后両陛下は、東日本大震災の被害に心を痛められている。とりわけフクシマ原発の事故については、美しい日本の国土が放射性物質により汚染され、いまだに15万人以上の住民が住み慣れた土地からの避難を余儀なくされていること、そして天から与えられし農作物や畜産物や海産物の恵みの多くが、未だに放射能の基準値を超え出荷停止となっていることに、深い悲しみを覚えておられる。皇居内の様々な儀式で、日々、日本国の民のため、農作物の豊作をお祈りになられている陛下にとっては、まさしくフクシマの現状こそが、千数百年以上のあいだ脈々と続けられてきた天皇家が慮る最たるもの・・・フクシマでは、いま民の籠から煙が出ていないのである。陛下が私的旅行として足尾銅山の跡地を訪問されたことも、原子力災害を二度と繰り返すことのないようにとの陛下の強い意志の表れである。・・・中略・・・本当の保守というのは、原発の再稼働にこだわったり、経済成長を追い求めたり、ということではなくて、我が国の美しい国土や伝統文化を守る、という事ではないですかね?」長い引用になりましたが、ほとんどお言葉は、事実のような気がします。著者は、現職のキャリア官僚で、前作「原発ホワイトアウト」でも、原発がどうして止められないのか、原発マネーの恐ろしさ、などの問題提起をした著作があります。

最近の新聞には、地方の時代といいながら、沖縄県民の意思を無視した「辺野古の美しい海」を中央政府(得票率で半分も得ていないが、選挙制度のおかげで圧倒的議席を持っている政府与党)が総がかりでつぶそうとする記事がありました。

京都の神社が維持管理のために神社の一部の土地を貸出し、ここに分譲マンションを作ることになったとの記事もありました。伝統を守る、美しい景観を維持するという観点で考えると、原発にかかる費用を少し回せば、解決することです。

建築にかかわっている私たちは、美しい建物、美しい街、美しい国を守るために、何ができるのでしょうか?まず、今何がこの国で起ころうとしているのかを知ることから始めたいと思います。そして、声をあげましょう。