欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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設計・工事監理、欠陥住宅調査、第三者検査の業務報酬

設計・工事監理、欠陥住宅調査、第三者検査の業務報酬

設計・工事監理業務費用と建築費は、大工さん、工務店又はハウスメーカーなどの施工者に設計施工で直接発注する場合は、直接工事費+設計・工事監理業務報酬(以下、設計監理費といいます)の両方を支払うことになります。設計事務所に設計・工事監理を依頼する場合は、直接工事費を施工者に、設計監理費は設計事務所に支払うことになります。

建築基準法で、「設計も工事監理も、建物規模に応じ、それぞれ一定以上の技能を有していると認められた建築士がおこなわなければ工事ができない」とされているように、住む人たちの生命や財産を保護するためには重要な業務なのですが、上記のような実状があるため、その費用も責任の所在も分かりにくい状況にあります。

また、施工者によっては「設計料はサービスです」などという場合もありますが、法律で「建築士の設計によらなければならない」とされている以上、必ず建築士が働いており、また、そうあるべきです。ただ、その費用が施工者と直接設計施工で契約する場合は工事費に含まれていて分からず、設計事務所と契約する場合にはその費用が見えてくるという違いに過ぎないのです。

ある住まいの情報サイトの記事では、①大工さんに依頼する場合は「設計費として工事費の1~1.5%」(※1)、②工務店に依頼する場合は「設計費として工事費の6~10%」(※1)、③ハウスメーカーに依頼する場合は「設計費として工事費の8~12.5%」(※1)、④設計事務所に依頼する場合は「設計・工事監理費として工事費の6~10%」程度とされています。

設計監理料金

設計監理料金

大工さんの場合は建築確認申請に要する費用(2~3枚の図面の作成と申請費用)だけなので安く、工務店とハウスメーカーの場合は建築士費用に足して設計に伴う打合せなどで働く営業担当者の人件費も含まれており、設計事務所の場合は全て建築士費用です。ここで重要なのは、設計事務所に依頼する場合だけが設計費と工事監理費の合算額であるということで、他の場合は工事監理業務を予定していないということになります。手抜き工事や欠陥住宅などを防止するためには、工事をおこなう者以外の建築士が工事を監理することが必要であり、先に述べたように工事監理者をおかなければ建築工事ができないことが法律で規定されているのです。

なお、設計事務所に支払う設計監理費を工事費の仮に10%とした場合、設計費は6.8%、工事監理費は3.2%程度の振り分けとなりますが、上記のサイト記事を参考にすると、設計費だけで考えても工務店やハウスメーカーより安いということになります。また、設計事務所に依頼した場合、施工者の決定は原則として入札になりますので、施工者間に競争原理が働き、直接工事費も一社に限定して発注する場合に比べて抑えられることになります。

建築士の業務報酬については、国土交通省が全国の約3000の設計事務所を調査し、国土交通大臣告示第15号として、業務報酬の算定方法及び業務に必要とされる時間を定めています。

たとえば、木造2階建て・150㎡程度の戸建住宅の場合、設計に必要とされる時間は総合・構造・設備を合わせて717時間、工事監理に必要とされる時間は総合・構造・設備を合わせて337時間とされています。これに、関わる建築士の経験・能力などを加味した直接人件費をかけ、それに経費(直接人件費の1.0倍)と、技術料等経費(直接人件費の0.5倍が最高)を合計して算出することになっています。

なお、当会では、欠陥住宅調査、第三者検査の業務報酬についても、告示第15号の趣旨を踏まえ、また、依頼者の大きな負担にならない程度で欠陥住宅被害救済業務の費用を定めています。

※1:工事監理も行わず、いわゆる「名義貸し」とされる違法行為です。

※2:工事監理:建築士法第2条において「その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう」とされています。また、同法第18条では、「建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない」とされており、施工会社の監督さんがおこなう“現場管理”とは違うものです。