欠陥住宅をつくらない住宅設計者の会

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建築士のひと言

家づくりに失敗はゆるされないから

平成24年10月22日

一級建築士 纐纈 誠

一生に一回しかできない家づくりに失敗はゆるされません。ですから、これから家づくりをしようとする人たちに、ぜひ知っておいて欲しいことがあります。

家づくりは様々な法律の中でおこなわれますが、メインである法律は「建築基準法」というものです。この法律は、国民の生命、健康及び財産の保護を図るために必要な最低の基準を定めたもので、建築主(建て主、施主)を含む全ての人が守らなければなりません。

しかし、ほとんどの建築主は建築にたずさわっている人ではありませんから、法律も建物の構造などもわかりません。したがって、建築基準法では小規模のものを除き、建築士が設計と工事監理をおこなわなければ建物の建築はできないことになっています。ここでいう建築士とは、建築士事務所(設計事務所)に所属して、設計及び工事監理を専業としている建築士のことで、建設会社の建築士ではありません。

丈夫で住み良い家づくりには設計も大事ですが、特に重要なのが工事監理です。「欠陥住宅の発生は工事監理がおこなわれているかいないかによって決まる」といっても過言ではないほどです。ですから、法律でも建築士が工事監理をしなければ建物の建築はできないとしているのです。

よく、「現場監督さんがちゃんと現場に見にきてくれているから大丈夫」という声を聞きます。現場監督さんは建築士の免許を持っていても、法でいう工事監理をする建築士(工事監理者)ではありません。

現場監督さんは工事の段取りなど現場を管理する人で、工事監理とは「建築士法」という法律で、工事が図面どおりにおこなわれているか確認して、おこなわれていない場合には監督さんなどに設計図どおりに実施するように求め、したがわないときは建築主に報告しなければならないと規定されているように、建設会社とは全く違う立場でおこなうものです。

工事監理は、監督さんがチェックしながらおこなう工事を更にチェックする機能で、欠陥工事や手抜き工事を防止する最後の砦なのです。

このように重要な設計や工事監理をする建築士は、常に知識や技能の維持向上に努め、建築士の信用又は品位を害するような行為をしてはならないとも規定されており、法の下に、そして建築主の期待に応えるために、重い責任の中で業務をしているのです。